第44章

「ルカ……!」

 突然現れたルカを睨みつけ、ジレフの顔色が土気色に変わる。

「ジレフ、手勢はこれだけか」

 ルカが右手を挙げると、背後の部下が恭しく歩み寄り、両手で灰皿を差し出した。

 ルカは煙草を押し付けて火を消す。その優雅な仕草さえ、彼がすると野性味を帯びた傲慢さに映った。

 ジレフの表情が目まぐるしく変わる。

「ルカ、我々の目的は一致しているはずだ。お前も前妻を始末したいんだろう!」

「ほう?」

 ルカが私に視線を流す。私が彼を信じるかどうか試しているようだ。

「イザベラは身分を隠し、三年間もお前を騙していたんだぞ、腹が立たないのか?」

 ジレフは捲し立てた。

「...

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