第51章

早朝。

アラームが鳴るより早く、私は身を起こした。

無意識のうちに視線が向くのは、窓辺の机に置かれたあの一輪の紅(あか)だ。

一晩経っても、その薔薇は瑞々しく、鮮やかな色を放っている。

昨日の花畑の記憶は既に曖昧だが、この一輪だけは鮮明に脳裏に焼き付いていた。

ルカの様子が少し変わったような気がする。だが、具体的に何が変わったのかは言葉にできない。

けたたましいアラーム音が思考を遮り、私は慌ててベッドを出た。

厄介事がいつ舞い込んでくるか分からない。展示会が終わるまで、警戒を解くわけにはいかないのだ。

午前十時頃、ジレフが現れた。

少し離れた場所から陰気な視線を私に向け、ポ...

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