第56章

ルカの側近に「裏切り者」がいる。

誰かがエミアにルカの居場所を漏らしているのだ。

その人物に必ずしも悪意があるわけではないだろう。ただ私よりもエミアの方が、将来の「城主の妻」として有望だと踏んだに違いない。

ルカもそのことに気づいているようだ。彼は眉間を揉むと、この問題を即座に追及することはせず、エミアの白々しい言い訳を聞き流して周囲を一瞥した。そしてサンカンという部下を指名し、エミアを送り返すよう命じた。

自分がやり過ぎたと悟ったのか、エミアは騒ぎ立てることもなく、殊勝な態度でサンカンに従って去っていった。

そしてルカが私の元へ戻ってきた。彼は沈黙したまま考え込み、その表情は次第...

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