第57章

あの時、ルカを救ったのは私だったのか?

記憶を辿ってみる。ルカがアムラー市に現れたというあの時期、確かに私もアムラー市にいたはずだ。

当時は国境紛争が激化しており、毎日運び込まれる負傷者の治療で目が回るほどの忙しさだった。もしルカがその大勢の負傷者の一人だったとしても、覚えている可能性は限りなく低い。

けれど、ルカの容姿はこれほどまでに際立っている。もし一度でも会っていたなら、少しも印象に残っていないなんてことがあり得るだろうか……。

ふと、眉間に指を押し当てられる感触があり、私は我に返った。

ルカが私の眉間の皺を伸ばすように撫で、「何を考えている?」と尋ねてくる。

「別に」

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