第58章

目を覚ますと、そこはホテルにある私専用のスイートルーム、その大きなベッドの上だった。

柔らかな布団に包まれ、心身が解けていく。私は半眼のまま、意識を失う直前の出来事を思い出すのにしばしの時間を要した。

ふと視線を逸らすと、窓辺に飾られた一輪の薔薇が目に留まる。

花瓶に挿してドライフラワーにしようとしていたものだ。深紅の色合いこそ留めているものの、花弁は皺くちゃに縮み、葉も枯れて丸まっている。

重たい蕾は項垂れ、細い茎は今にも折れそうで、いつ散ってもおかしくない。

「ベラ、目が覚めたか!」

ボーニン兄さんが驚きと喜びの混じった声を上げた。

彼は私の額に手を当て、安堵の息を吐く。

...

ログインして続きを読む