第66章

テイラーの音声データは、私が捏造したものだ。

もっとも、実際の会話をベースにしている。つまり、虚実を織り交ぜた代物というわけだ。

エミアが愚かにも自爆してくれたのは、予想外の棚から牡丹餅だったけれど。

かつてテイラーが師匠のもとを訪れていた頃、彼は何度か師匠の草稿を盗み出していた。

草稿など書き損じの紙クズ同然とはいえ、そこには多くの重要な研究成果が記されている。

師匠の死後、彼は未発表の成果を自分の名義で小出しにし始めた。その際、師匠の草稿に混ざっていた私のメモまで数枚、一緒に持ち去っていたのだ。

だから私はテイラーを直接脅した。「泥棒としての所業をバラす」と。

テイラーは名...

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