第69章

指先が痛くなるほどリダイヤルボタンを連打したが、マルクス兄さんとルカの電話は、いつまで経っても繋がらない。

焦燥に駆られ、きびすを返して外へ走り出そうとすると、ボーニン兄さんが慌てて追いかけてきた。

「ベラ、待て!」

「止めないで!」

私は我を忘れてボーニン兄さんに叫んでしまった。

その声に、秘書室の話し声がピタリと止み、オフィスフロアで残業していた社員たちも驚いて顔を上げる。

ボーニン兄さんの驚愕と、瞳の奥に一瞬よぎった悲しみを見て、私は足を止めた。

「ボーニン兄さん、ごめんなさい……」

「いや、謝る必要はない」

兄さんはすぐに表情を整えた。

「十秒……いや五秒待ってく...

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