第77章

エレベーターの金属扉が閉ざされた瞬間、空気が凍りついたように重くなった。

ルカから漂う微かなコロンの香りが強引に鼻腔へ侵入し、私は反射的に身を強張らせる。

耳が彼の胸板に押し付けられ、ドクンドクンという力強い鼓動が聞こえてくる。

これは彼の鼓動? それとも私の?

慌てて突き飛ばそうとしたが、彼が苦しげに呻いたため、傷に触れてしまったかと勘違いして抵抗を止めてしまった。

すぐに騙されたと気づく。ルカの両腕は私をしっかりと捕らえ、その懐に閉じ込めていたのだ。

浮遊感が襲い、階数表示の数字が次々と変わっていく。

頭上から、低く掠れた声が降ってきた。

「わざと無視しているのか? 俺を...

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