第84章

通りは喧騒に包まれ、色とりどりの風船が空の下で海のように連なっていた。陽気なシチリア民謡が風に乗って遠くまで流れていく。

長いパレードの列が通りを練り歩く。鮮やかな民族衣装をまとった踊り子たちが、スカートの裾を翻して紙吹雪とキャンディを撒き散らし、金箔とリボンで飾られた山車の後ろを、子供たちが興奮して追いかけていく。

「何、呆けてるんだ?」

耳元でジョニスが尋ねてきた。その口調には、いつもの軽薄さが混じっている。

「子供の頃を思い出してたの。マルクス兄さんが花車を追いかけて転んで……ちょうど歯の生え変わり時期で、あの転倒で前歯が抜けちゃったのよ」

私は思考を引き戻し、思わず微笑んだ...

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