第99章

人波が引いていく。顔が茹で上がる寸前で、ルカは私を解放した。

足が地面に着くや否や、私は踵を返して歩き出した。

頭に血が上ったまましばらく歩き、ふと我に返って周囲を見渡す。ここはどこ?

目の前には広大な水域が広がっていた。中央に巨大な黒い岩礁が聳え立ち、傍らには「永遠の石」と書かれた看板がある。

マイクをつけたスタッフが、片隅で穏やかに解説していた。

「……陸にはダイヤモンド、海底には永遠の石がございます。どちらも無類の硬度を誇り、幾万の時を経ても消えることはありません。これらは、死が二人を分かつまで続く愛の象徴なのです――」

その言葉につられ、視線を向ける。漆黒の、表面が滑...

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