第6章

ミラ視点

床から天井まである窓から夕日が血のように滲み、部屋のすべてを黄金色に染め上げていく。私は革張りのソファに丸くなって座り、手のひらで赤ワインのグラスを包み込んでいた。グラスを傾けると、中の液体が光を捉え、渦を巻くのが見える。

三日間。あの家から離れて、たった三日間。それだけで、やっと呼吸ができるようになった。

もうドアのそばで待ち構えることもない。五分おきに携帯をチェックすることもない。マルコの沈黙が傷つくなんてこと、もうそんなふりはしなくていい。

自分の左手に目を落とす。指に残っていた傷跡が、薄れてきている。もうほとんど消えかけていた。

アパートは静かだ。平穏そ...

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