第5章
ニコは返事を待たなかった。困惑する招待客たちの間を強引に押し分け、ボールルームの扉を蹴破るようにして飛び出した。
現場に到着したとき、高速道路はすでに完全に封鎖されていた。パトカーの赤と青の回転灯が、視界のすべてを不気味に染め上げている。消防車。救急車。残骸からは、まだ黒煙が立ち上っていた。
車が完全に停止するよりも早く、ニコはドアを乱暴に開け放った。
「君、そこは通れません――」警官が彼の腕を掴もうとする。
ニコはその手を荒々しく振り払い、かつて車だった無残な残骸へと駆け出した。彼の警備チームが、大声で彼の名を叫びながら慌てて後を追う。
あと数メートルというところで、彼...
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