第9章

 子供たちは旅の疲れでぐったりしていた。ニコはホテルの部屋を取り、二人を休ませるために連れて行った。

 彼らが去った後の廊下は、あまりにも静かすぎた。

 車椅子を漕いで自分の部屋に戻ろうとしたとき、背後から足音が聞こえた。

「夕食は食べた?」

 ニコの声だ。優しく、慎重な響き。まるで私が「出て行って」と言うのを恐れているかのようだ。

 私は振り返らなかった。「ええ。食べたわ」

 彼が近づいてくる気配がした。背中に視線を感じる。

「腕……」彼の声がさらに低くなる。「痛むか? その注射の痕」

 私は視線を落とした。点滴の針の跡の周りに紫色の痣が広がり、私の青白い肌の上で痛々しく目...

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