第216章 国家の敵となる

上村サラPOV

幸いなことに私たちの行動は迅速で、すぐに車を停めてある場所まで安全に戻ることができた。どうやら今夜、ウェンデルは単独行動だったようだ。

廃車寸前のトヨタが、闇の領域から飛び出すように走り去る。

私は長い間、後ろを振り返っていた。追跡車両の姿はない。そこでようやく、長い溜め息が漏れた。

春のほうを向くと、彼の表情は暗く沈んでいた。「ウェンデルは自分の正体を明かすかしら?」

「奴が言わなくても、もう分かっている」

私は驚いて口を開けた。「彼は何者なの?」

「CIAだ」

「えっ? CIA? 中央情報局? つまり、アメリカ政府が……」私は乾いた唇を舐めた。「アメリカ政...

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