第221章 路地裏での生死を懸けた追跡

【藤原春】

俺とサラが営市場を抜けた直後、別のCIA工作員に目をつけられた。

即座にサラの手を引き、両側に露店がひしめく路地へと早足で潜り込む。彼女の背中を押し、俺の前を歩かせた。

「まっすぐ進め! 振り返るな」

俺は短く告げた。

言葉通り、サラは一度も後ろを振り向かなかった。栗色の髪を宙に躍らせながら、分岐に差し掛かるたびに一切の躊躇なく進路を選び取る。一秒たりとも無駄にしない。彼女が並ぶ屋台に次々とぶつかるせいで、民芸品や土産物、食べ物がその足跡を追うように路上へ散乱していった。周囲から巻き起こる喧騒と怒号が、すぐさま俺たちを包み込む。

尾行してくる黒人の工作員は小柄で、人混...

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