第233章 天性のレーサー

【上村サラ POV】

翌朝、私たちは早くに目を覚ました。

アシナの両親は、私たちのために豪華な朝食を用意してくれていた。私とアシナがリビングへ向かうと、そこには春の姿しかなかった。ムカリはいない。

「車の中で待ってる」

春は短く告げた。

アシナの両親が、そっと視線を交わすのが見えた。確かに、これ以上の別れの言葉は気まずさと痛みを増すだけだろう。

手早く朝食を済ませ、荷物をまとめて出発の準備を整える。結婚式に参列する人々と鉢合わせるのだけは避けたかった。

アシナは革袋にトルティーヤとチーズをいくつか詰め、道中の食料として持たせてくれた。

私は彼女とハグを交わして別れを告げた。

...

ログインして続きを読む