第240章 私たちは自らの敵を救った

【藤原春】

顔の汗を拭い、後部座席で血まみれになって横たわる男を振り返った。顔面は殴られて原型を留めておらず、両目は赤く腫れ上がってまともに開くこともできない。鼻はひん曲がり、唇は無残に裂けていた。口からとめどなく血を吐き出しているところを見ると、おそらく内臓に深刻なダメージを負っているに違いない。

果たしてこの男は生き延びられるのだろうか。俺の胸に重苦しい思いがのしかかる。

行動を起こすのが遅すぎたのだ。

サラは座席の前に跪き、男の衣服をはだけて慎重に状態を確認すると、その腹部をそっと手で圧迫した。男の口から、くぐもった苦悶のうめき声が漏れる。少なくとも、まだ生きている。

サラは...

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