第242章 我々のやり方で越境する

藤原春

俺たちはラウアの国境検問所にいた。車内から、ムカリがエチオピアの検査官に賄賂を渡そうとするのをこの目でしかと見届けていた。

奴は数枚の米ドル紙幣——おそらく三百ドルは下らないだろう——を俺のパスポートに直接挟み込み、相手に差し出した。対する検査官はパスポートの異変に気づいたはずだが、顔色一つ変えずにそれを受け取ると、まるで手品のように二本の指で紙幣を抜き取り、素早く胸ポケットへと滑り込ませた。その間も、ムカリとの雑談は途切れることなく続いている。

途上国の公務員に汚職が蔓延していることは知っていたが、これほど堂々とした露骨な収賄を目の当たりにすると、さすがの俺も少しばかり肝を冷...

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