第248章 私にあなたの代わりをさせて

上村サラ視点

トロサの周囲を人だかりが取り囲み、犯人の首を刎ねるという彼の決定に対して、口々に非難や激しい反発の声を浴びせていた。

春は声を潜めてキヤに尋ねた。

「コーランの教えでは私刑は是認されず、罪は裁きによらなければならない。そうだろ?」

キヤは春と口を利くのが初めてで、少し恥ずかしそうに頷いた。

「はい。コーランでは正義が重んじられます。肉親のための復讐は認められていますが、アッラーは私たちが慈悲と寛容を示すことをより望んでおられます。それに、今は昔と違って法律も警察もありますから。今夜、トロサがこの人を殺せば、明日には警察に連行されてしまうかもしれません」

私はため息を...

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