第250章 自分の恐怖と向き合う

上村サラ POV

車は山間部を走り抜け、曲がりくねった渓谷を絶え間なく進んでいく。車窓には緑豊かな森と草原が広がり、その景色は息を呑むほど美しかった。

やがて、トロサの言っていた青ナイル川に辿り着いた。しかし、その水面は濁った黄褐色で、ちっとも青くない。現地のオロモ語では、この川を「アバイ川」——すなわち「母なる川」と呼ぶそうだ。

それはエチオピア全土にとって最も重要な淡水域である。この国に源を発し、国土を横断してスーダンへと流れ込み、最終的にスーダンの首都ハルツームで白ナイル川と合流して、あの世界で最も有名なアフリカの大河となるのだ。

絶え間なく奔流する川面をぼんやりと見つめている...

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