第306章

私は春に、ビアンキ夫人を見逃してほしいと懇願したかった。彼女はステファノの母親だからだ。ステファノが自分の母親が目の前で死ぬのを目の当たりにするなんて、見たくなかった。それは彼にとっても、私にとっても、あまりに残酷すぎる。

「春、ステファノには随分と助けてもらったわ。彼に命を救われたこともある。確かにビアンキ夫人には酷い目に遭わされたけれど……それでも、私たちとビアンキ家はこれでおあいこなんじゃないかって思うの」

「おあいこだと? 君だってあいつを救ったじゃないか。銃弾の飛び交う中を駆け抜けて、あの特別な薬を手に入れたのは、あいつを助けるためだったんだろう?」

ダニエルが傍らで、面白が...

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