第1章

深夜、高級マンション。その巨大なイタリア製本革ソファの上で体を丸め、私は震える指で録音ボタンを押した。

これで十七回目だった。

回を重ねるごとに自己嫌悪は深まるのに、やめられない。薬物が自身を破滅させると分かっていながら、次の一服に抗えない中毒者のように。

「颯真、お願い……ごめんなさい、怒らないで……」

私の声は、失恋に打ちひしがれたかのような、か細い囁きだった。ああ、これが本当に私なのだろうか? 埃にまみれるほど卑屈なこの声が、かつて桜原組の会合で、どんな男たちの目でも真っ直ぐに見据えることができた氷室玲華だというのか?

「あなたの友達の前で、あなたを疑うようなことを言って、本当にごめん……ただ、緊張しすぎて……許してくれないかな?お願い......」

六十秒の音声。その一言一言が、私の残された尊厳を削り取っていく。氷室亮介の言葉を思い出す。「玲華、誰にも弱みを見せるな」と。

だが今、私は自分の弱さをボイスメッセージに吹き込み、自ら進んで亮介の影にも及ばない男に届けようとしている。

目を閉じ、送信ボタンの上で指を彷徨わせる。心は五年前へと飛んだ。十八歳の誕生日の夜、亮介が射撃場で私に銃の撃ち方を教えてくれた、あの夜へ。

彼は私の背後に立ち、私の手を彼の手で覆い、銃の握りを直してくれた。背中に彼の胸の温もりを感じ、嗅ぎ慣れたコロンの香りを吸い込むと、途端に心臓の鼓動が制御できなくなった。

「覚えておけ、玲華」彼の声が耳元で囁いた。「愛する者を守れるのは、強い者だけだ」

その瞬間、私はこの男への想いが、感謝を超え、依存を超え、父への愛情さえも超えてしまったことに気づいた。

私は彼を愛していた。

狂おしいほど、必死に、絶望的に、彼に恋をしていた。

私は振り返って彼を見た。亮介も何かを察したようだった。彼の目は複雑な色を帯びていた。その深い灰青色の瞳には、優しさと、慈しみと、そして当時の私には理解できない一種の痛みが宿っていた。

「玲華……」彼はかすれた声で、そっと私の名を呼んだ。

私たちはそうして見つめ合った。空気は危険な緊張感で張り詰めていた。彼が私にキスをするのだと、私たちの間のこの感情を認めてくれるのだと、ほとんど信じかけていた。

だが結局、彼は一歩後ろに下がった。

「お前はまだ若すぎる」彼はそう言って、射撃場から背を向けた。

その日から、私たちの関係は微妙なものになった。亮介は変わらず私を慈しんでくれたが、常に慎重に距離を保っていた。そして私は、炎に吸い寄せられる蛾のように、必死にその距離を縮めようとした。

化粧を覚え、ハイヒールで歩くことを覚え、一族の会食で優雅に立ち振る舞うことを学んだ。彼に見てほしかったのだ。私はもう彼の保護を必要とする少女ではなく――彼の隣に立つにふさわしい、一人の女に成長したのだと。

二十歳のクリスマスイブ、私たちは二人とも酒を飲んでいた。私が赤いシルクのドレスを着ていると、彼は綺麗だと言ってくれた。私たちは暖炉のそばで踊った。彼の腕が私の腰を抱き、彼の心音が聞こえるほど近かった。

「玲華」彼の声は赤ワインのように深かった。「俺たちは、ダメなんだ……」

「どうしてダメなの?」私は遮り、心の中の問いを口にする勇気を振り絞った。「私があなたの養女だから? それとも、私を全く愛していないから?」

亮介は私を見つめた。その瞳には、今まで見たこともないような脆さが浮かんでいた。

「お前は分かっていない」と彼は言った。「俺がお前を愛せば、それはお前を破滅させることになる」

「なら、私を壊して」私はつま先立ちになり、彼の唇に触れようとした。

だが、ちょうどその時、誰かがドアをノックした。緊急の一族の用件で、亮介は行かなければならなかった。彼は私を深く見つめ、そして背を向けて去っていった。

三ヶ月後、白峰島で爆発事故が起きた。亮介は死んだ。

私たちは、あの言葉を交わすことも、あの行いをすることも、お互いが本当になりたかった関係になることも、ついぞなかった。

はっと目を開け、私は送信ボタンを押した。

亮介は死んだ。死んで、もう三年になる......

そして私は、ただ代用品を探しているだけ。それも、粗悪な代用品を。

スマホの画面に「既読」の文字が表示された瞬間、私の心臓は鼓動を止めたかのようだった。私は画面を凝視し、判決を待つ囚人のように颯真からの返信を待っていた。

だが、届いたのは彼の返信ではなかった。

一枚のスクリーンショットだった。

私の手は震え始め、かろうじてスマホを握りしめているのがやっとだった。それは氷室家の若者たちのグループチャット。私のボイスメッセージが、こんなキャプションと共に転送されていた。『この哀れな負け犬、誰だと思う? はははは』

そして、雨のようにメッセージが殺到した。

『マジかよ、これ本当に若頭の姫か?』

『あんなにプライド高そうだったのに、媚びることもできるんだな』

『颯真のやり方は天才的だな、ゴッドファーザーの養女を征服するなんて、さぞかし気分がいいだろう』

一つ一つのメッセージが、ナイフのように私の心を突き刺す。怒りたかったし、反撃したかった。だが、何もできないことに気づいた。なぜなら、そのナイフを彼らに渡したのは、私自身なのだから。

最後のメッセージが、私の血を瞬時に凍りつかせた。

『もし亮介が生きていたら、きっと颯真を自分の手で殺していただろうな』

亮介。

私は必死に首を振り、頭に溢れかえる映像を振り払おうとした。白峰島での爆発、彼の命を奪ったあの爆風。遺体すら見つからず、まるで彼が初めから存在しなかったかのように。

だが、彼は存在した。私を救い、この闇の世界で生き抜く術を教え、この世で唯一の温もりを与えてくれた。

そして今、私は彼にほんの少し似ているというだけの男のために、自らを辱めている。

スマホが震えた。颯真からのメッセージだ。

「今すぐゴールデンシティに来い。即刻だ。来なければ、今夜のボイスメッセージを桜原市中の裏社会に送りつけてやる」

私の指は、長い間画面の上で留まっていた。

行かないという選択もできた。最後の尊厳を守るという選択も。だがそうすれば、今夜の屈辱は裏社会に広まるだろう。亮介の養女、若頭の姫は、皆の笑いものになる。

彼がもういないとしても、私のせいで亮介の名誉を傷つけるわけにはいかない。

シンプルな黒いドレスを纏い、化粧はしなかった。鏡に映る女はやつれ、絶望しきっていて、かつて若頭の誇りと呼ばれた玲華の面影はどこにもなかった。

三十分後、私はゴールデンシティのVIPルームのドアの前に立っていた。

ドアノブに手をかけ、深呼吸をする。ドアの向こうからは男たちの笑い声と、カードテーブルでチップがぶつかる音が聞こえてくる。このドアを押し開ければ、もう後戻りはできないと分かっていた。

だが、私に逃げ道はなかった。

ドアが開くと、室内のタバコの煙が顔に当たり、咳き込みそうになる。カードテーブルを囲む五、六人の男たち。その一人一人が、これから始まるショーを観るかのように、好奇の目で私を見つめていた。

彼らの目には、期待と、悪意と、これから起こるであろう屈辱への興奮が渦巻いていた。

「本当に来たな」そばかすのある男が静かに言った。「颯真、マジで彼女が……?」

颯真はソファに座ったまま、顔も上げなかった。彼は手にしたハートのキングをもてあそび、唇には得意げな笑みを浮かべている。獲物を前にした捕食者のようだ。

「来たか」彼の声は素っ気なく、まるで私がいてもいなくてもいいウェイトレスか何かのように扱った。「そこに立ってろ。動くな」

私の体はわずかに震えたが、それでも彼の命令に従い、判決を待つ囚人のようにドアのそばに立ち尽くした。

カードゲームは続く。私はそこに立ち、彼らがカードをし、酒を飲むのを見て、時折交わされる囁き声を聞いていた。私の名前が聞こえ、顔が赤くなるような言葉も聞こえたが、立ち去ることも、言い返すことさえもできなかった。

時間はゆっくりと過ぎていく。一分一分が、まるで一世紀のように感じられた。足は痛み始めたが、動く勇気はなかった。

「クソッ!」颯真が突然悪態をつき、カードをテーブルに叩きつけた。

その瞬間、私は彼の横顔を見た。

時が止まったかのようだった。

寄せられた眉、怒りの表情、そして見慣れた顎のライン……薄暗い光の中で、颯真はまるで……

ああ、神様……怒った時の彼は、亮介にそっくりだ……

次のチャプター