第8章
「あなたは自分以外、誰も愛したことがなかったのよ」氷室から吹きつける風のように、私の声は冷え切っていた。
バン! バン!
轟音と共に二発の銃声が地下室を揺らし、鼓膜がキーンと不快な音を立てる。颯真は、苦悶に顔を歪めながら膝から崩れ落ちた。血に濡れた両脚を必死に押さえつけ、喉の奥から絞り出すような、獣じみた悲鳴を上げる。
その醜悪なまでの苦しむ様を前にしても、私の心に憐憫の情は微塵も湧かなかった。ただ、長年燻り続けていた復讐の炎が、今、血管の隅々まで熱く駆け巡るのを感じていた。
「これが私を欺いた代償よ、颯真」私は静かに立ち上がり、自分でもよそよそしく感じるほど落ち着き払った声で...
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2. 第2章
3. 第3章
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8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
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