チャプター 74。

ドミニク視点

「それなら、決まりだな」俺は笑って言い、ディナの腕の中で彼にぎゅっと抱きついたままのタリアを見つめた。

「ねえ、あなた。ひとつお願いしてもいいかしら?」ミシェルが尋ね、タリアは微笑んでうなずいた。

「あなたのピアノ、聴かせてくれない? もうずいぶん長いこと聴いていないの」そう言われて、タリアは片眉を上げて俺のほうを見た。

「許可を求めてるんだよ」ケイデンがタリアに笑いかけて言う。

「ああ、もちろん。ぜひ弾いてくれ。ビアンキ家のお姫さまの演奏を、みんな聴きたいはずだ」俺が笑って答えると、舞踏会場のあちこちから嬉しそうな歓声が上がった。

ディナがタリアを床へ下ろす。足が床...

ログインして続きを読む