第165章

リドリー視点

バスルームの戸口で凍り付くシダーを、俺はただそこに立って見ていた。俺が待っているとは思ってもみなかったのだろう、彼女の顔に浮かんだ驚きが、俺の中の何かを揺さぶった。からかって、その頬の赤みをさらに深くしてやりたいという衝動に駆られたが、いつもの冷静な表情は崩さなかった。ただ、彼女を見つめ続ける視線だけが、内心を裏切っていた。

「……シャワー、浴びてくる」

彼女から滅多に聞くことのない、はにかんだ声でそう呟いた。

バスルームのドアが閉まり、水が流れ出す音が聞こえると、俺は深く息を吸い、ベッドの端に腰掛けてタブレットを手に取った。四半期報告書に目を通さなければならなかったが、...

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