第25章

南條修司は鋭い目を細め、白石沙耶の方へ顔を向けた。

木村智也は修司様の腹の虫を読むかのように、すぐさま口を開いた。

「山本監督、一体どういうことですか?」

木下明美は監督に事の経緯を説明させるつもりなどなかった。彼女が望んでいたのは、南條修司に自分が虐げられていると思わせることだった。

「監督、この新井萌子が台本を勝手に変えて、元々なかったシーンを付け加えて、私を平手打ちしたんでしょう。頬が腫れちゃいましたよ。

この業界では皆、修司様のお顔を立てて私に気を遣ってくれてるのに、この新井萌子は意地悪して...これが広まったら、共演者が皆、手を出すようになってしまいます。

私なんて女優...

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