第120章 高橋裕也は今日ちょっと違う

安藤美咲だって、考えたことがないわけじゃない。彼の力を借りられれば、復讐するだけの力が手に入る――そう思った。

自分を陥れたあの母娘にも、踏みにじられる痛みを味わわせてやりたい。何もかも失わせてやりたい。

けれど。

そんなやり方は、どうしても許せなかった。

どれだけ無力でも、こんな形で復讐なんてしない。

「高橋社長には、もっとふさわしい方がいます」

ちょうどそのとき、エレベーターの扉が開いた。美咲は彼より先に一歩踏み出し、外へ出る。

社長室フロアの視線なんて、もうどうでもいい。腹は決まった。自分は自分でいる。それで好きに言わせておけばいい。

高橋裕也は、背筋を伸ばして前を歩く...

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