第3章
シャトーに到着するやいなや、私は涼しい場所を探すという適当な口実を作り、葡萄棚の最も奥まった一角へと逃げ込むように身を潜めた。
そこは蔦がまるで壁のように密生し、外からの視線を完全に遮断している場所だった。熱を帯びた赤土の上に膝をつくと、広げた黒いドレスの裾が泥に汚れ、それがかえって背徳的な美しさを醸し出しているように思えた。
私はドレスのボタンを外し、乳房を灼熱の太陽の下に晒す。外気に触れた乳首が、刺激を受けてぷくりと尖り始める。マークに散々弄ばれ、屈辱を味わわされたこの身体は、今やジュリアンへの渇望で微かに震えていた。
目の前の紫黒色に熟した『グルナッシュ』を一房もぎ取り、その一粒を指で押し潰す。冷たい果汁を乳房に滴らせると、液体は乳首を伝い、下腹部へと滑り落ちていく。瞼を閉じれば、バスの中で見たジュリアンの横顔が脳裏に焼き付いて離れない。これはただの葡萄の汁ではない。彼の指だ。熱を帯びた指先が、ゆっくりと秘所へ向かって這っているのだと想像する。
私はもう一粒の葡萄を手に取り、じわりと湿った蜜壺の入り口へ、ゆっくりと押し込んだ。
果肉の冷たさと体内の熱が激しくぶつかり合い、思わず甘い嬌声が漏れる。指でさらに奥へと押しやりながら、もう片方の手で核を弄る。快感が波のように押し寄せ、積み重なっていく。ジュリアンが蔦のすぐ向こうに立ち、この淫らで浅ましい痴態を見下ろしているのだと想像する。彼の吐息が耳にかかり、私の名を低く呼ぶ幻聴さえ聞こえてくるようだ。
「ジュリアン……ジュリアン……」
荒い息と共に名を呼び、妄想に合わせて腰を揺らす。指の動きが果汁と愛液の中で加速する。果実が体内で弾けた瞬間、快楽が爆発した。私は叫び声をあげて絶頂を迎え、汗が土に滴り落ちる。太腿の間はもう、ぐしゃぐしゃに濡れそぼっていた。
息を整えようとしたその時、枯れ葉を踏み砕く乾いた音が静寂を破った。
弾かれたように目を開ける。
そこにはジュリアンが立っていた。その翠の瞳には、驚きとも、あるいは最初から予期していたかのような、原始的な光が宿っている。
「どうやら、自分だけの『甘み』を見つけたようだな、マリア」
低く、笑みを含んだ声だった。
私が反応する間もなく、彼は歩み寄り、目の前でしゃがみ込んだ。葡萄の汁に塗れた乳房と、無防備に開かれた股間をじっと見つめる視線。羞恥と興奮で、心臓が破裂しそうになる。
「何よ……覗き見?」
私は慌ててドレスを直そうとするが、声には怒りよりも隠しきれない動揺が滲んでいた。
「覗き見?」
ジュリアンは眉を挑発的に上げ、口元に意地悪な笑みを浮かべた。
「ただ通りがかっただけさ。君の声が聞こえたから、誰が俺の庭でそんな大胆な真似をしているのか気になったんだ。知ってるだろう? このシャトーは俺の実家の持ち物だ」
私は言葉を失い、顔が一瞬にして熱くなる。実家の持ち物? じゃあ、私がここに来ることも知っていて、わざと誘導したというの?
「どういうつもり? 私をからかってるの?」
立ち上がり、強気な態度を取ろうとしたが、足に力が入らず崩れ落ちそうになる。
「からかう? まさか、マリア」
彼は一歩踏み出し、私の顎を指先で掬い上げ、無理やり視線を絡ませた。
「ただ好奇心があるだけさ。全身ブランド物で固めているのに、一人旅をしているような女が、一体何を探しているのかとね。癒やしか、それとも別の何か……例えば、空虚さを埋めるための金か、男か」
彼の言葉は鋭い棘のように心に突き刺さる。あからさまな品定めだ。
私は奥歯を噛み締め、怒りと羞恥がない交ぜになった感情をぶつけた。
「私が金目当ての女だとでも思ってるの? ジュリアン、あんたの金なんていらないし、誰の施しも必要ないわ。私がここに来たのは、あの役立たずの男を忘れるためよ。別の最低野郎に値踏みされるためじゃない!」
ジュリアンの瞳の色が変わった。私の反論が、彼の興味を惹いたようだ。
彼は一歩下がり、両手をポケットに突っ込む。口調は柔らかいが、挑発的な色は消えていない。
「いいだろう、マリア。金目当てじゃないことは信じてやる。だが、君がどれだけ『自立』しているか、証明してもらう必要があるな。この葡萄畑で、虚飾にまみれた女を嫌というほど見てきた。俺は時間の無駄遣いをする気はないんだ」
「証明?」
私は冷笑を浮かべる。激しい胸の起伏と共に、怒りが羞恥を上回っていく。
「どうやって証明しろって言うの? それとも、ただ私が恥をさらすのを見て楽しみたいだけ?」
彼は答えず、葡萄を一房摘むと、ゆっくりと一粒を指で押し潰した。紫色の果汁が彼の手指を伝って滴り落ちる。その視線は、獲物を狙うように私を捉えて離さない。
「この土地は、人間の本性を暴き出す。マリア、本気で過去を忘れたいなら、隠し事はなしだ。言ってみろ、君は何を望んでいる?」
その言葉は重いハンマーのように、私の心の防壁を打ち砕いた。
彼の手指を濡らす果汁を見つめる。脳裏にはマークの裏切りと屈辱がよぎるが、身体はジュリアンの視線によって、深く熱い渇きを覚え始めていた。私は唇を噛み、声を絞り出す。
「私は……やり直したい。自分が生きているって実感したいの。捨てられた空っぽの抜け殻なんかじゃなくて」
ジュリアンの瞳が暗く沈み、口元が微かに吊り上がった。
「なら、証明してみせろ、マリア。捨てられた惨めな女ではなく、自らの欲望を支配する女王であることを」
