第29章

加藤大輔は目をぱちくりさせながら赤木玉里を見つめていた。

午後帰ってきた時、赤木玉里はずっと外で加藤龍平を待っていて、加藤大輔に対して不満をぶつけていた。その態度からは加藤龍平への心配と気遣いが溢れ出ていた。

兄嫁が母親代わりとなり、自分に子供がいないことから、加藤龍平を弟として、また半分我が子のように思っていると考えれば、確かに理解できなくもない。

しかし、加藤龍平と一緒に帰ってきてからは、態度が一変した。

まずは食事の用意を拒否した。

加藤大輔が外で買い物をして戻ると、彼女は台所で忙しく立ち働いていた。

そして今の様子では、加藤龍平を長期的に家に置いておくつもりのようだ。

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