210。ヒート・アンド・ラット

兵士の大半が同意して頷いた。ロダリックに従おうとしていた者たちも、徐々に考え込み始めている。

「私が貴様らの指揮官だ。命令する――」

「あんたの命令なんぞに従うものか、ロダリック」年嵩の兵士が立ち上がり、歩み寄る。「月の領域の支配者が耳を貸さなかったせいで、我が子を失った伴侶が悲しみの淵に沈んでいくのを見ているのがどれほど辛いか、あんたに分かるか? 分かるはずもないだろうな」

「貴様らは兵士だ。痛みは我々が経験するものの一部。玉座への忠誠を誓ったはずだ」

年嵩の兵士は苦々しく笑った。「俺が忠誠を誓ったのは、玉座にふさわしいお方だ。我々を無駄死にさせようとする奴じゃない。ダンカン王が本当...

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