第50章「わが民」

アデラインは息を潜めるようにして、ロナルドの後に続いた。

会議室での自分の発言が適切だったのか、彼女には自信がなかった。何しろ、自分はまだ試用期間すら終えていない一介の秘書に過ぎないのだから。

ロナルドが突然立ち止まり、アデラインは彼の背中に思い切りぶつかってしまった。

ツンとした鋭い痛みが鼻に走り、思わず涙が滲む。

ロナルドは振り返り、彼女の涙ぐんだ痛ましげな表情を見ると、たちまちその目を和ませた。「もう大丈夫だ。怖がらなくていい、私がいる」

「怖がってなんていません」アデラインは鼻をさすった。「あなたが私の鼻にぶつかってきたんです」

ロナルドは一瞬きょとんとし、それから仕方なさ...

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