第百六十四章

事態が手に負えなくなってきたことに気づき、自分の匂いが城中に広がり始める前にと、私は階段を駆け上がった。

「これ、すごく強烈ね」匂いをくんと嗅いだゾーイが、私の発情期の強さに目を白黒させながら言った。

「絆が私たちに子供を作らせようとしてるの。でも、それを防ぐために薬を飲んでた」最後の部分は囁くように付け加えた。「本当の私を知った上で彼らがどう思うかわからないまま、永久に縛り付けたくなかったから」

部屋に入る頃には熱っぽくなっていて、私は急いでドアに鍵をかけた。フェロモンを閉じ込められるかもしれないと思ったからだ。もっとも、そんな単純な仕組みではないのだけれど。

「あなたと一緒になれて...

ログインして続きを読む