第二十六章

ニコライ視点

ジャブを打ち込むたびに、俺がぶつけている苛立ちをそのまま叩き返してくるかのように、サンドバッグが反撃し始めているようだった。

痛みが指先を駆け巡ったが、痛いのは豆が潰れたせいじゃない。痛いのは俺の心だ。俺を飲み込むほどの憎しみが、自分自身への失望が、どうしようもない負け犬でしかない自分の無力さが、そして、ここには医療設備が不足しているせいで我が子が生きるために苦しんでいるという事実が、痛かった。

だが、どれ一つとして俺にはどうすることもできないのだから、別の種類の痛みを求めるしかなかった。

野生動物に再び噛みちぎられることなく、癒えるであろう痛みを。

悪夢はおそ...

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