第二十八章

手にしたモップの柄が床に落ち、ガチャンとけたたましい音を立てた。その不意の音に、私は夢想から現実に引き戻される。

「申し訳ありません、陛下」と私は素早く謝り、彼の進路から慌てて身を引くと、プライバシーを確保して差し上げようとドアへと急いだ。

こんな気まずい状況に陥ったことなんて一度もなかったし、どうすればいいのかさえ分からなかった。自分の体に何が起きているのかも理解できない。さっき見たものを必死で忘れようとしていたせいで、他のことは何も考えられなかった。

「どこへ行くつもりだ?」彼に問われ、私は歩みの途中で足を止めた。これ以上見るべきでないものを見てしまうのが怖くて、振り返ることはできな...

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