チャプター 282

ニコライ視点

かつては己の潜在能力を、父との血縁がもたらす力を、恐れていた時期があった。父は強大な男たちの血筋であり、その誰もが、その地位に伴う強欲と虚無に飲み込まれていったのだ。

だが、我が伴侶と俺が引き起こした大虐殺を目の当たりにしたいま、自分を偽るような真似は決してすべきではなかったのだと、火を見るより明らかだった。

俺は自らの動きを制御できていなかった。己の肉体の中にいる見知らぬ誰か、という感覚だ。だが正直なところ、気にはならなかった。結果は、俺が想像しうるどんなものよりも上々だったからだ。かつてこの闇と戦っていた頃は、完全に意識を奪われていたものだが、今は違う。まるで俺たちの間...

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