第六十一章

「え?」私は息を呑んだ。彼の言葉が、私の全身を貫いたのだ。

最後にキスされた時の記憶が、招かれざる客のように頭の中に蘇る。あの情熱と獰猛さに、思わず身震いがした。けれど、その結末を思い出した途端、ぞっと寒気が走った。

だが、何かが驚くほど違っていた。

ルシアン王は決して尋ねたりしなかった。彼が何を考えているのか理解させてくれることも、これが私の望むことなのかどうか決める選択肢を与えてくれることもなかった。

「ごめん、どうしても我慢できなかった。この光の下で輝く君は、息を呑むほど美しい」彼の声が、私の冷静さをかき乱していく。

彼の手が上がり、その指の関節が私の頬を撫でたかと思う...

ログインして続きを読む