第七十一章

――場面は、双子が階段の物音を調べに行った時に飛ぶ。

怪我人がおらず、宮殿への外部からの襲撃でないことがはっきりした時、兄さんと俺が目に見えて安堵するのが自分でも分かった。

ルシアンは警備を強化していたし、俺は現在、選抜チームと共に、入国を許可される前の段階で人々を審査するセキュリティシステムに取り組んでいるところだった。フランス政府の方が俺たちよりもそれを喜ぶだろうが、最も重要なのは、吸血鬼という種の権力の座が、潜入者や二重スパイから安全に保たれることだった。

「すみません」俺たちの存在に気づくと、少女は言った。「階段で滑ってしまって。掃除した人が床に水を残していったみたいなんです」と...

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