第九章

ルシアン視点

髪を梳かそうとして、俺はブラシを手に取ったまま、鏡の中の自分を見つめた。

何もかもが、まったく筋が通らなかった。

本来なら、俺はあと一、二ヶ月は昏睡状態にいるはずだった。廊下の向こう、父が俺たちのためにしつらえた即席の診療所で、今も痛みに身をよじらせている双子の片割れと同じように。

だが、俺はこうして、わずか三日で健康体を取り戻し、身も清められている。いつもならウイルスの発作の後には必ず現れる目の周りの黒ずみさえ、きれいに消えていた。

だからこそ俺たちはいつも、目覚めた後、清掃員たちを外で待たせるのだ。ウイルスの痕跡はすべて消し去らねばならない。毎朝目の周りに黒いコール...

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