第106章

「氷室弁護士、ダメじゃん!」

「商売の場じゃ容赦なくて、血も見せずに人を斬る氷室弁護士にも、ダメなときってあるんだ」

「もうどれだけ経ったのよ。まだ落とせてないの? 手が出せないとか?」

朝、悠がオフィスのドアを押して入ると、朝戸冬香が彼の椅子にだらしなく腰掛け、目の前には朝食が置かれていた。

入ってきた悠を見た瞬間、面白いものでも見つけたみたいな顔をする。

悠が上着を脱ぐのを眺めながら、冬香は頬杖をついて口を開いた。

「露華苑、寝かせすぎると古くなるよ。新居にするにはもう微妙じゃない?」

「黒崎様も最近、帝都を離れる気配ないし。このまま攻め続けられたら、あんた結構危ないよ」

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