第17章

地下駐車場に、篠の咳き込みが響き渡った。悠のクソ野郎。

煙を吹きかけて、むせさせやがった。

篠は腰に手を当て、悠を指さしたまま、ゲホゲホと咳き込む。息が整わず、言葉が一つも出てこない。

「悠……あんた……っ」

悠は煙草を指に挟んだまま、余裕たっぷりに一歩引く。きちんと整えた身なりで、腰も伸ばせずに咳き込む篠を見下ろした。

神が、瀕死でもがく人間を眺めているみたいに。

ふいに、篠の脳裏に親友の声がよぎる。

『小金持ちの家から出てきた成金の資本家よ? あんた、あの男の何を見てるの?』

『顔? それとも身体?』

『悠みたいな奴はね、金で魂は磨けない。磨けるのは手口だけ。もっと陰湿...

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