第31章

篠は鼻で笑った。

「氷室弁護士、ずいぶん自分を高く買ってるのね。本当にそうなら、帝都には剥きたくなる名士なんていくらでもいるでしょう? わざわざ家柄もない売り出し中の新人を相手にするわけないじゃない」

悠が篠の手をつまんで下へ押し下げる。彼女がまたふざけた真似をしでかさないように、という牽制だ。

「父親が死んだら、あんたに値段がつくのはその皮だけ。帝都で誰が知らないの、篠が湯水みたいに金を使うって。遺産なんて、あと何日もつ?」

「帝都の名流? 名流が“破産したお姫様”なんて拾うと思う? 持ち帰っても、手も肩も使えない。おまけにトラブルメーカーで好き勝手するかもしれない。篠、あんたこそ...

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