第33章

「誰?」

「悠だよ!」

18階の個室の前で、悟は警察を追い払ったあと、腕を組んでだらしなく扉にもたれ、篠を眺めていた。

「貢ぐだけ貢いで、最後は何も残らないってやつだな。不二さん」

そのあからさまな面白がりように、篠の頭の中で怒りが一気にぶくぶくと煮え立つ。

よりにもよって、売春で通報するなんて。

ほんとに最低最悪のクズだ。取引がまとまらなくたって、筋ってものはあるだろうに。もしあのまま警察に連れて行かれていたら、明日の一面はとんでもないことになっていたはずだ。

篠は怒りにまかせてバッグを引っつかみ、足早に立ち去る。悟もさすがに空気は読んだのか、すっと身を引いて道を空けた。

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