第38章

「怒っちゃった?」

篠がいつまで経っても黙ったままなのを見て、行広睦子は歩み寄り、彼女のグラスに軽く自分のグラスを当てた。

「別に」

「じゃあ何考えてんの? やけに深刻そうな顔してるけど」

「さっきの悠の蹴り、めちゃくちゃ格好よかったなって」

「うわ、刺さっちゃったわけね」

行広睦子

…………恋愛脳とか、ほんと救いようがない。

「ねえ、あいつって私のこと好きなのかな?」

「行こ。デッキ」

行広睦子は篠の腕をつかみ、そのままデッキへ連れ出そうとした。

「え、なんでデッキ? 寒いじゃん」

「頭ん中に溜まった水分、風に当てて飛ばしてやるためよ!」

…………

今夜の...

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