第52章

直樹は篠の顔色が冴えないのを見るなり、鼻で笑った。

「篠。ひとたびあの婆さんが俺の側に立って、おまえに不法監禁されたって証言したら――どうなると思う? 帝都一の女なんて肩書き、まだ守れるのか?」

「遺産を手に入れたところで何になる。牢屋の中で使うつもりか?」

誰が売った。

どこのクソが、あたしを売った?

篠の目がすっと細くなる。

悠――。

さっき目の前で鬱憤をぶつけられたばかりだ。あのクソなら、やりかねない。

篠は気持ちを静めると、田中に水を用意させ、自分はソファの脇に立って上着を脱いだ。

するりと衣服が落ちる。

あらわになった肌には、無数のキスマーク。白い肌の上に、乱れ...

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