第5章
「赤い花だ! 赤い花よ!」
華恵美が真っ先に悲鳴を上げ、その目から一瞬にして涙が溢れ出した。彼女は転がるようにしてイーゼルに飛びつき、まるで何にも代えがたい宝物を扱うかのように、そのキャンバスを両手でしっかりと抱きしめた。
「神様、ありがとう! 次人、ありがとう!」華恵美は狂ったように振り返り、私に抱きついてきた。
「百花! 聞いた? ついに正常な赤ちゃんを身ごもったのよ! これで株田家は安泰だわ!」
いつも冷酷で堅物な史司の顔も、極度の興奮で激しく引きつっていた。「奇跡だ! これは我が一族の奇跡だ!」
そして、私の夫である航平。
私の傍らに立ち、キャンバスに描かれたその...
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