第9章

翌日の放課後、私はいつも通り、監視カメラが壊れている校舎の道を通っていた。

神崎菊司がいつものように私を抱きしめようとしてきたが、私は軽やかに身を翻してそれをかわした。

彼は傷ついたような顔で私を見つめる。

「葵、すまなかった」

彼の声はいつもより低かった。

「僕も、こんなことになるなんて思っていなかった。最初の、あの馬鹿げた賭けに参加したのは、ただの一時の気の迷いだったんだ。でも、君への気持ちは本物だ」

神崎菊司の顔からはいつもの余裕が消え、その瞳の奥にはこれまで見たことのない狼狽が隠されていた。

私は無表情に彼を見つめ、伸ばされた彼の手を冷たい視線で拒絶した。

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