第6章
午前一時二十五分。キャンパスは静まり返り、誰もいない歩道に私の足音だけが響いていた。さっきの電話で得た安堵感はまだ体中に残っていたが、胸の奥には昔のあの息が詰まるような感覚の残滓が燻っていて、禁断症状に終止符を打つための、最後の一撃を待ち構えているかのようだった。
スマホを確認する。蒼司が指定した締め切りまで、あと五分。
「地下室」はキャンパスの端にある地下スペースで、外から見ると寂れた倉庫のようだった。階段を下りていくと、喧騒と音楽が漏れ聞こえてくる。重い木製のドアを押し開けると、薄暗い照明とタバコの煙が目に飛び込んできた。
「マジかよ、本当に来やがった!」隅か...
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