第41章

江崎玲子は遠慮が多すぎた。

もし彼女に後ろ盾があれば、古江直樹と一度試してみるのもいいと思っていた。

たとえ結果が出なくても、気にしないつもりだった。

でも今はダメだ。二人の身分には大きな隔たりがあり、彼には恋人がいる。これは原則的な問題だった。

江崎玲子は長い間冷静さを取り戻そうとして、ようやくトイレから出てきた。

古江直樹は付き添いベッドに座りタバコを吸っていた。彼も自分を落ち着かせようとしていた。

足音を聞いて、古江直樹は振り返って彼女を一瞥し、手の中の煙草を消した。

「君はベッドで寝ろ。柔らかいから」

それはできないだろう。病人は彼なのに。

「古江社長、大丈夫です。...

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