第109章

「お姉さん、大丈夫ですか?」

 小林昇太は松本絵里の身体を支え起こすと、彼女を自分の背後に庇った。

 三メートルほど吹き飛ばされた松本大国は、尻もちをついたまま、アイタタ、アイタタと痛みを訴えている。

 松本百合は悲鳴を上げると、掴みかかっていた運転手を慌てて放し、大国の元へ駆け寄った。

 絵里の頬には、大国に平手打ちされた痛みが火のように走っている。

 彼女は驚いたように昇太を見つめた。まさかこんな場所で、しかも自分が最も無様な姿を晒している時に彼と再会するとは思ってもみなかったのだ。

 彼女はかぶりを振り、感謝を込めて言った。

「大丈夫……ありがとう。また、あなたに助けられ...

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