第116章

同じように、あてどなく街を彷徨っていたのは、松本大国と松本百合の夫婦もまた同様だった。

金木様に屋敷を追い出された彼らには、行くあてなどどこにもなかったのだ。

佐藤グループの本社前で張り込んでみたものの成果はなく、いつの間にか大国が幼少期を過ごした場所へと足が向いていた。そこは松本絵里が大学に入るまで暮らしていた街であり、この都市に残された最後のバラック地区でもある。だが今や、その土地も佐藤グループの手によって買収され、住民の立ち退きは完了し、あとは解体を待つばかりとなっていた。

「あれ、松本絵里じゃないの?」

目ざとい百合が声を上げた。曲がり角を過ぎたところで、階段に座り込んで呆け...

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